作品紹介
『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』は1999年7月3日公開の日本映画。大林宣彦監督による「新尾道三部作」の第3作(最終作)。原作は山中恒の児童文学小説『とんでろ じいちゃん』。主演は小林桂樹(おじいちゃん役)、共演に厚木拓郎(由太役)、宮崎あおい、寺島咲、成海璃子、根岸季衣、勝野洋、宝生舞、根本りつ子、左時枝、入江若葉など。後にトップ女優となる宮崎あおい・成海璃子のブレイク前出演作としても貴重な一作。広島県尾道市を舞台に、認知症が始まったおじいちゃんと孫の夏の冒険、初恋、戦争の記憶、家族の絆を、大林監督独特の幻想的・ファンタジックな映像表現で描いた珠玉の作品です。
小学校5年生の由太(厚木拓郎)は、ボケ気味になってきた祖父・おじいちゃん(小林桂樹)を監視するため、夏休みに尾道を訪れます。最初は嫌々だった由太ですが、おじいちゃんが唱える呪文で空を飛んで隣の島へ渡ったり、実はおじいちゃんが子供だった時代へタイムスリップしていたりするという不思議な体験に巻き込まれていきます。
由太はミカリ(宮崎あおい)という少女と出会い、彼女の家である長恵寺を訪れます。そこで昔亡くなったお玉さんという少女が、おじいちゃんの初恋の人だったことが明らかに。お玉さんと、彼女が過ごした少女時代の尾道、そして戦争で失われた人たちの記憶――おじいちゃんの「ボケ」の奥に隠された、戦時中の悲しい思い出と純粋な初恋の物語が、由太の夏休みを通じて少しずつ明かされていきます。尾道水道、千光寺山、岩子島、向島、福本渡船など、大林映画の聖地・尾道の風景と、福山駅、御調八幡宮など広島東部の名所がフルに登場する、大林監督の集大成的な尾道映画です。
話題になったポイント
大林宣彦「新尾道三部作」の最終作
大林宣彦監督が故郷・尾道を舞台に撮った「尾道三部作」(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)の続編「新尾道三部作」(『ふたり』『あした』『あの、夏の日』)の最終作。大林の尾道愛と、戦争と平和への願いが込められた作品です。
宮崎あおい・成海璃子のブレイク前出演
後にトップ女優として活躍する宮崎あおい(当時14歳)、成海璃子(当時7歳)が、ブレイク前のフレッシュな姿で出演。宮崎あおいの透明感ある演技は、大林作品の独特の世界観に見事にマッチしました。
小林桂樹の「ボケじいちゃん」名演
名優・小林桂樹が、認知症が始まったおじいちゃんを温かくユーモラスに、そして時に哀しく演じた名演。おじいちゃんと由太の世代を超えた絆、戦争の記憶という重いテーマを、優しい眼差しで描き切りました。
ロケ地ガイド
尾道中心市街地
大林映画の聖地・尾道。
- JR山陽本線尾道駅:尾道市東御所町、尾道の玄関口。
- JR山陽本線の跨線橋:尾道市土堂1丁目。
- 文学記念室下の坂道:尾道市東土堂町。
- 尾道市文学記念室:尾道市東土堂町。
- 千光寺新道の山白屋:尾道市東土堂町。
- 西土堂の坂道:尾道市西土堂、尾道らしい坂道。
- 階段:尾道市西土堂町。
- 土堂突堤:尾道市東土堂町1丁目。
- 天寧寺:尾道市東土堂町、千光寺山中腹の古刹。
- 千光寺山の鼓岩(ポンポン岩):尾道市東土堂町。
尾道水道・向島・岩子島エリア
瀬戸内海と離島。
- 岩子島海水浴場:尾道市向島町岩子島。
- 福本渡船:尾道市土堂1丁目、尾道-向島の渡船。
- 干汐(ひしお)海水浴場:尾道市向島町干汐。
- 大町海水浴場:尾道市向東町大町。
- 港沿いの道路:尾道市向東町大町。
尾道郊外・三原エリア
広島東部のロケ地。
- 小川のある農村:尾道市原田町梶山田。
- 御調八幡宮(みつぎはちまん):三原市八幡町宮内。
- 摩訶衍寺(まかえんじ):尾道市原田町梶山田。
その他のシーン
福山と神奈川。
聖地巡礼のおすすめルート
尾道・千光寺山ルート
JR尾道駅を起点に西土堂の坂道から天寧寺、千光寺山の鼓岩へ登る、大林映画の聖地巡礼の王道コース。
福本渡船・向島ルート
福本渡船で尾道水道を渡り、岩子島海水浴場と干汐海水浴場を巡る離島コース。
文学のまち尾道ルート
尾道市文学記念室と文学記念室下の坂道で文学のまち尾道の歴史を体感し、千光寺新道の山白屋を訪ねる文化散策コース。
視聴者の声・評判
評価スコア
大林宣彦監督の「新尾道三部作」最終作として、大林ファン・尾道ファンから根強く愛される一作。宮崎あおいのデビュー作的な作品としても重要視されています。
好評だったポイント
「大林監督の幻想的な映像表現が美しい」「小林桂樹のおじいちゃん役が温かい」「宮崎あおいの透明感」「尾道の風景が美しい」「戦争の記憶と平和への願い」「世代を超えた家族愛に泣ける」「大林ファンタジーの集大成」――尾道映画の名作として、現在も新たな観客を獲得し続けている珠玉の作品です。