作品紹介
『帽子』は2008年8月2日にNHKで放送された単発スペシャルドラマ。NHK広島放送局開局80周年記念作品で、平成20年度文化庁芸術祭テレビドラマ部門で優秀賞を受賞した名作。主演は緒形拳(春平役)――本作は緒形拳の遺作の一つとして特別な意味を持つ作品です。共演に田中裕子(世津役)、玉山鉄二(吾朗役)、室井滋、高橋恵子、大杉漣、津川雅彦、三浦友和など豪華キャスト。脚本は寺田敏雄、演出は小林大児。テーマは「胎内被爆者」――母胎内で被爆した人々の人生を、被爆体験を後世に語り継ぐ意味を込めて描いた重厚な人間ドラマ。広島県呉市を主舞台に、職人と若者と被爆者の女性、3人の人生が交差する、戦後日本ヒューマンドラマの傑作です。
広島県呉市――職人として誇り高く生きてきた老帽子職人の春平(緒形拳)の店に、ある日警備員としてやって来た若者・吾朗(玉山鉄二)が出入りするようになります。最初は気難しい春平に戸惑う吾朗ですが、職人の生き方と帽子への愛情に触れるうち、春平を慕うようになっていきます。
そんな中、春平の前に、初恋の人・世津(田中裕子)が現れます。世津は胎内被爆者――母の胎内で広島原爆を浴びた女性で、長年その後遺症と向き合いながら生きてきました。世津は実は、吾朗の実母でもあったのです。3人の人生が呉の街で再び交差し、過去と現在、被爆と平和、職人の生き様と若者の未来が紡がれていきます。呉市三条の両城200階段、両城中学校・小学校、大歳神社・大蔵神社の階段、宝町埠頭、阿賀港、音戸の古い町並みなど、呉市の風景を惜しみなく活用した、被爆地・呉ならではの説得力ある映像が、戦後ヒューマンドラマの傑作を完成させました。
話題になったポイント
緒形拳の遺作の一つ
2008年10月に逝去した名優・緒形拳の遺作の一つ。職人として誇り高く生きる老帽子職人を、緒形ならではの抑えた重厚な演技で演じ切った、彼のキャリアを締めくくる名演として大切に記憶されています。
「胎内被爆者」を題材化した社会派ドラマ
母の胎内で広島原爆を浴びた「胎内被爆者」を主要テーマに据えた、被爆体験を後世に伝える重要な作品。NHK広島放送局開局80周年記念に相応しい、戦後日本の傷跡と希望を見つめる名作です。
呉の街並みフルロケ・芸術祭優秀賞
呉市三条の200階段、両城中学校・小学校、宝町埠頭、阿賀港、音戸の古い町並みなど、呉市の風景を惜しみなく活用した本格ロケ。平成20年度文化庁芸術祭テレビドラマ部門優秀賞を受賞した完成度の高い作品です。
ロケ地ガイド
呉市・主舞台エリア
春平の店と日常。
- ダイクレ第二工場:呉市昭和町、呉の工業景観。
- 旧亀田呉服店:呉市三条2丁目、レトロな商店。
- セコム呉営業所:呉市本通2丁目。
- みどり屋:呉市中通4丁目。
- 堀江宝飾店:呉市本通4丁目。
- 宝町埠頭:呉市宝町、海辺のロケ地。
- 阿賀港:呉市阿賀南5丁目。
- 道路:呉市宮原7丁目。
呉・両城エリア
呉名物の階段街。
呉・音戸エリア
呉の歴史的町並み。
- 音戸の古い町並み:呉市音戸町鰯浜2丁目、平清盛ゆかりの地。
広島・東京シーン
関連ロケ地。
- 広島駅:広島市南区松原町。
- JR東海道本線東京駅丸の内口:千代田区丸の内1丁目。
- 道路:江戸川区平井1丁目。
- 一軒家:足立区中川3丁目。
- スペイン坂:渋谷区宇田川町。
聖地巡礼のおすすめルート
呉・両城200階段ルート
両城の200階段を上り、大歳神社の階段と大蔵神社の階段を巡る、呉の急階段名所コース。
呉中心市街ルート
旧亀田呉服店から堀江宝飾店を巡り、宝町埠頭へ。呉の中心商店街と海辺を体感するコース。
音戸の歴史散策ルート
音戸の古い町並みを訪ね、平清盛ゆかりの瀬戸内海の歴史を体感する文化コース。
視聴者の声・評判
評価スコア
平成20年度文化庁芸術祭テレビドラマ部門優秀賞受賞。緒形拳の遺作の一つとして大切に記憶される名作。NHK広島放送局のドキュメンタリードラマ屈指の名作として、現在も再放送される度に評価される作品です。
好評だったポイント
「緒形拳の遺作の重み」「田中裕子の胎内被爆者役が圧巻」「玉山鉄二の真摯な演技」「呉の街並みが説得力ある」「被爆体験を後世に伝える意義」「NHK広島の本格制作」「文化庁芸術祭優秀賞の完成度」――戦後日本のヒューマンドラマの最高峰として記憶される名作です。