作品紹介
実写版『秒速5センチメートル』は2025年10月10日公開の日本映画。2007年に公開された新海誠監督の同名アニメーション(63分)を、奥山由之監督が約2時間の実写長編として再構築した作品です。配給は東宝。主演は遠野貴樹役の松村北斗、ヒロイン篠原明里役に高畑充希。主題歌は米津玄師の書き下ろしです。
小学校で出会い、互いにとって特別な存在になった貴樹と明里。しかし親の転勤でそれぞれ別の土地へ移り、二人の距離は少しずつ、しかし決定的に広がっていきます。中学、高校、そして大人になった現在まで。桜の花びらが落ちる速さ「秒速5センチメートル」という一言に託された、届かなかった想いの20年余りが描かれます。
実写化にあたり、アニメ版の舞台をそのままなぞるのではなく、独自のロケ地が選ばれました。明里が書店員として働く紀伊國屋書店 新宿本店は本作を象徴する場所で、館内のシーンが多数登場します。幼少期の別れは長野県のしなの鉄道 黒姫駅で撮影されました。アニメ版で象徴的だった栃木県の岩舟駅は実写版では使われておらず、その置き換えも公開後に話題となりました。一方、東京・代々木の参宮橋3号踏切や参宮橋 首都高下の電話ボックスなど、アニメ版と同じ構図で撮られたカットも用意されています。
話題になったポイント
アニメの名作を実写でどう語り直すか
63分のアニメーションを2時間の実写に拡張するにあたり、原作にはなかった時間と余白が加えられました。「浄化しすぎた」という批評もあれば「これは別の作品として成立している」という評価もあり、公開直後から議論が絶えませんでした。
写真家・奥山由之の初長編
写真家・映像作家として知られる奥山由之の長編映画デビュー作。画作りへの評価は高く、光と質感の表現がアニメ版の情感を別の形で引き受けています。
米津玄師の書き下ろし主題歌
主題歌は米津玄師によるオリジナル書き下ろし。アニメ版が山崎まさよし「One more time, One more chance」と分かちがたく結びついていただけに、実写版がどんな曲を持ってくるかは公開前最大の関心事のひとつでした。
ロケ地ガイド
新宿エリア(東京都)
大人になった明里が生きる街。実写版で最も重要な追加要素です。
- 紀伊國屋書店 新宿本店:東京都新宿区新宿3-17-7。明里が働く書店。実際の店内で撮影されており、公開後は聖地巡礼に訪れる人が相次ぎました。
- 新宿区役所前交差点:東京都新宿区歌舞伎町。夜の新宿を歩くシーン。
代々木・参宮橋エリア(東京都)
アニメ版のイメージを引き継ぐ、踏切の街。
- 参宮橋3号踏切:東京都渋谷区代々木4丁目。小田急線の踏切。アニメ版の象徴的な構図を別角度で捉えています。
- 参宮橋1号踏切:東京都渋谷区代々木3丁目。ピンクの傘が使われるシーン。
- 参宮橋 首都高下の電話ボックス:東京都渋谷区代々木4丁目。アニメ版とほぼ同じ構図で撮られたカット。
長野・千葉エリア
幼い日の別れと、日常の背景。
- しなの鉄道 黒姫駅:長野県上水内郡信濃町柏原。ホーム北端で、貴樹を乗せた電車を明里が見送る場面が撮影されました。
- 南石農業集落多目的集会施設前ポスト:長野県長野市豊野町。手紙というモチーフを担う郵便ポストのカット。
- 東松戸中央公園:千葉県松戸市東松戸。千葉県フィルムコミッションが公表しているロケ地です。
- 多摩六都科学館:東京都西東京市芝久保町。世界最大級のプラネタリウムドーム「サイエンスエッグ」で終盤のシーンが撮影されました。
種子島エリア(鹿児島県)
高校時代の貴樹が過ごす、ロケットの島。公式にも撮影地として案内されています。
- 種子島宇宙センター周辺:鹿児島県熊毛郡南種子町茎永。日本最大のロケット発射場。「世界一美しい発射場」とも呼ばれます。
- 中種子町:鹿児島県熊毛郡中種子町。島の中央部。生活シーンの撮影地。
- 中山海岸/天女ヶ倉公園:鹿児島県熊毛郡。海岸と高台のシーン。
※種子島や長野の一部ロケ地には、予告編の映像等から特定された推定地点が含まれます。
聖地巡礼のおすすめルート
新宿・代々木 半日ルート
新宿駅から紀伊國屋書店 新宿本店へ。明里が働く売り場を歩いたら、小田急線で参宮橋へ移動し、参宮橋3号踏切、参宮橋1号踏切、参宮橋 首都高下の電話ボックスを巡ります。徒歩圏内に収まる、半日の定番コースです。
信濃町・雪の駅ルート
北陸新幹線で長野へ、しなの鉄道北しなの線に乗り換えてしなの鉄道 黒姫駅へ。二人が別れたホームの北端に立てます。冬に訪ねると、劇中の空気にもっとも近くなります。南石農業集落多目的集会施設前ポストのある豊野町は途中下車で寄れます。
種子島 ロケットの島ルート
鹿児島港から高速船で種子島へ。中種子町を拠点に中山海岸、島の南端の種子島宇宙センター周辺まで。打ち上げスケジュールと合わせれば、貴樹が見上げたロケットを実際に見られます。レンタカー必須の一泊二日コースです。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksの平均スコアは★4.0。Blu-ray/DVDは2026年4月15日に発売されました。松村北斗・高畑充希という配役への支持が厚く、アニメ版のファンからも新規の観客からも広く観られた一本です。
好評だったポイント
「松村北斗の抑えた芝居がはまっている」「高畑充希の明里に説得力がある」「画面の光がとにかく綺麗」「米津玄師の主題歌でとどめを刺された」——一方で「アニメ版の切なさが整理されすぎている」「原作の余白のほうが好きだった」という声も根強く、アニメ版との比較が感想の中心になっています。どちらを先に観るかで印象が大きく変わる作品です。