作品紹介
『大仏開眼』は2010年4月3日・10日にNHK総合で前後編2回にわたって放送された、NHK大阪放送局制作の「古代史ドラマスペシャル」第3弾。平城遷都1300年を記念して制作された大型時代劇で、脚本は『太平記』『麒麟がくる』などを手がけた池端俊策、演出は田中健二。奈良時代、東大寺大仏建立をめぐる政治と人間の物語を、遣唐使・吉備真備の視点から重厚に描き出しました。
物語は、唐でその学才を認められた遣唐使・下道真備(のちの吉備真備/吉岡秀隆)が、17年ぶりに帰国するところから始まります。真備は東宮学士として阿倍内親王(のちの孝謙天皇/石原さとみ)の教育係に抜擢されますが、聖武天皇が国家事業として推し進める大仏造立に、国の疲弊を理由に反対の立場を取ります。一方、律令国家の復権を目論む藤原仲麻呂(高橋克典)は光明皇后に取り入って絶大な権力を握り、真備を唐へと追放。やがて孝謙天皇が即位し、大仏開眼法要へと時代は動いていきます。
撮影は2009年10月から2010年1月にかけて行われ、京都・東映京都撮影所には上半身だけで高さ9メートルというほぼ原寸大の大仏セットを組むという力の入れよう。ロケ地は文化庁の特別許可を得て東大寺で撮影したほか、平城宮跡の朱雀門や第一次大極殿など、平城遷都1300年で整備された史跡群が惜しみなく使われています。奈良・京都・滋賀・福井にまたがる、まさに古代史ロマンを味わえるロケ地群です。
話題になったポイント
平城遷都1300年記念の大型企画
2010年は平城京遷都から1300年の節目の年。復元された朱雀門や第一次大極殿を実際のロケ地として使うことで、「1300年前の平城京」を映像として立ち上げるという、記念作にふさわしい企画になりました。
高さ9メートルの実物大大仏セット
東映京都撮影所に組まれた、上半身だけで9メートルという原寸大の大仏セットが圧巻。開眼法要のシーンで、人々が見上げる巨大な盧遮那仏の存在感は、本作最大のビジュアル的見どころとされています。
池端俊策脚本による重厚な人間ドラマ
大河ドラマの名手・池端俊策が脚本を担当。吉備真備、阿倍内親王、藤原仲麻呂という3人を軸に、理想と政治、信頼と裏切りが交錯する濃密な群像劇に仕上がっています。2000年代のNHK歴史ドラマとしてはかなり重厚な部類との評価も。吉岡秀隆・石原さとみ・高橋克典という配役の妙も高く評価されました。
ロケ地ガイド
奈良・平城京エリア
物語の中心舞台。平城遷都1300年に合わせて整備された史跡が並びます。
- 東大寺:奈良県奈良市雑司町。大仏殿のある東大寺そのもの。文化庁の特別許可を得ての撮影が行われました。
- 奈良平城宮跡公園朱雀門:奈良県奈良市佐紀町。平城宮の正門・朱雀門として登場。1998年に復元された、平城京の象徴です。
- 平城宮跡第一次大極殿:奈良県奈良市佐紀町。平城宮の大極殿。まさに2010年に復原公開された、天皇の政務の中枢です。
- 平城宮跡東院庭園:奈良県奈良市法華寺町。平城宮の東院庭園として登場。日本庭園の源流とされる復原庭園です。
- 平城宮跡東院建部門:奈良県奈良市法華寺町。藤原仲麻呂の館として使われました。
- 薬師寺:奈良県奈良市西ノ京町。平城宮の朱塗りの回廊として登場。世界遺産の古刹です。
- 若草山:奈良県奈良市雑司町。吉備真備と阿倍内親王が話をしていた丘。奈良の街を一望する名所です。
京都エリア
平城京以外の宮や自然の風景を担った、京都の名所群。
- 平安神宮:京都府京都市左京区岡崎西天王町。平城宮の朱塗りの建物として登場。大極殿を模した社殿が古代の宮殿を演出しました。
- 大沢池:京都府京都市右京区嵯峨大沢町。山背国の恭仁宮として撮影。大覚寺に隣接する日本最古の庭池です。
- 下鴨神社:京都府京都市左京区下鴨泉川町。大君が難波宮へ向かう森として登場。糺の森の原生林が古代の景観を再現しました。
- 瑞穂造成予定地跡:京都府船井郡京丹波町井尻。行基が民に向かって盧遮那仏造立を説いた丘。
滋賀・福井エリア
- 安楽律院:滋賀県大津市坂本本町。吉備真備と阿倍内親王が話をしていた泉橋院として撮影。比叡山麓の静謐な古刹です。
- 深溝湖岸:滋賀県高島市新旭町深溝字外ヶ浜。藤原仲麻呂が息を引き取った琵琶湖湖畔。仲麻呂の乱の終焉を象徴する場所です。
- 一乗谷朝倉氏遺跡:福井県福井市戸ノ内町。土塀の続く町並みとして登場。戦国期の城下町復元町並みが、古代の街路として使われました。
聖地巡礼のおすすめルート
平城宮跡・古代の宮ルート
朱雀門から第一次大極殿を経て東院庭園・東院建部門へ。近鉄・大和西大寺駅を起点に、平城宮跡歴史公園を一日かけて歩く王道コース。作品の政治劇の舞台がそのまま並んでいます。
奈良・大仏と若草山ルート
東大寺で実物の大仏を拝み、若草山に登って奈良盆地を見渡す、真備と内親王の対話の場所を辿るコース。薬師寺まで足を延ばせば、西ノ京の世界遺産も回れます。
京都・古代ロケ地ルート
平安神宮から下鴨神社の糺の森を歩き、嵯峨野の大沢池へ。京都市内で撮影された「古代の風景」を巡る一日コースです。
評価・反響
評価スコア
Filmarksのレビュー数は95件ほどながら、歴史ドラマファンからの評価は高め。「2000年代のNHK歴史ドラマとしてはかなり重厚」という評価に代表されるように、古代史を真正面から扱った希少な作品として支持されています。
好評だったポイント
日本のドラマでは扱われることの少ない奈良時代を、正面から描き切った意欲作として評価されています。