作品紹介
『ゴーイング マイ ホーム』は、2012年10月から12月まで関西テレビ・フジテレビ系列で放送された全10話の連続ドラマです。『誰も知らない』『そして父になる』などで世界的に評価される映画監督・是枝裕和が、初めて民放連続ドラマの脚本・監督を全話担当した意欲作として大きな話題を呼びました。
主人公は阿部寛演じるCMプロデューサー・坪井良多。家でも会社でも板挟みで、どこか居場所のないサラリーマンの彼は、ある日、疎遠になっていた父・栄輔が長野で倒れたという知らせを受けます。父の見舞いに長野へ向かった良多は、父が若き日に追い求めていた「クーナ」という小さな幸福の妖精の存在を知り、父が残した謎を追ううちに、妻・沙江(山口智子)や娘と共に、自分自身の家族のかたちを見つめ直していきます。
是枝監督ならではの静謐で詩的な映像表現と、家族の機微を丁寧にすくい取る演出が結実した本作は、ロッテルダム国際映画祭に正式出品され、日本の連続ドラマ全話上映という異例の快挙を成し遂げました。
話題になったポイント
是枝裕和監督による民放初の連ドラ
それまで映画とNHKドラマを中心に活動していた是枝監督が初めて民放の連続ドラマを手掛けたことで、放送前から映画ファンを中心に大きな期待が寄せられました。全話脚本・演出を一人で担当するという異例の体制で、映画作家の作家性がそのまま10時間のドラマに結晶しています。
「クーナ」という幻想的モチーフ
父が追い求めていた小さな幸福の妖精「クーナ」というファンタジックな設定が、現実的なホームドラマの中に不思議な詩情を生み出しました。長野・信州の森や山々の映像と相まって、視聴者を優しい夢の世界へと誘います。
豪華キャストの自然な演技
阿部寛、山口智子(本作で連続ドラマ主演復帰)、宮崎あおい、吉行和子、夏八木勲、西田敏行ら錚々たる顔ぶれが、是枝演出のもとで台詞に頼らない自然体の演技を見せた点も大きな話題となりました。
ロケ地ガイド
長野県・信州エリア
本作の魂ともいえる舞台が長野県伊那市を中心とした信州エリア。父の故郷として、「クーナ」を探す物語の中心地となります。
- 美和ダム:信州の雄大な自然を象徴するシーンで印象的に使われました。
- 稗之底村自然散策路:クーナ探しの舞台となる森の小道として重要な役割を果たします。
- 伊那市立伊那小学校:父・栄輔の思い出が詰まった学校シーンのロケ地。
- 伊那市高遠町総合支所(旧高遠町役場):地域の人々と良多が交流する場面で登場します。
- 高遠さくらホテル:長野滞在中の宿泊シーンで使用された宿。
- 旧長野地方法務局富士見出張所:昭和の面影を残す建物が物語の郷愁を深めます。
- JR中央本線信濃境駅:東京と信州を繋ぐ玄関口として印象的に映し出されました。
東京都
主人公・良多の都会での日常を描くシーンで使われた場所。
- 芝浦工業大学豊洲キャンパス:良多の職場周辺のシーンで使用。
- AFURI:都会的なランチシーンで登場する人気ラーメン店。
- 隅田川の中央大橋:都市の詩情を感じさせるカットの舞台となりました。
聖地巡礼のおすすめルート
信州クーナ探しルート
JR中央本線信濃境駅を起点に、高遠町、伊那市を巡るルートがおすすめ。伊那小学校(外観のみ)から旧高遠町役場、高遠さくらホテルへ。桜の名所・高遠城址公園と合わせて訪れれば、春には作品とは違った彩りの信州を楽しめます。稗之底村散策路で森の散歩を体験すれば、クーナに出会えるかもしれません。
東京都心散策ルート
豊洲の芝浦工業大学から隅田川の中央大橋へ歩き、AFURIで一杯のラーメンを味わうコースは、良多の日常を追体験できます。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksドラマでの平均スコアは★★★★4.0点(レビュー1135件)と極めて高い評価を獲得しています。
好評だったポイント
「映像が綺麗で、ドラマなのに映画を観ているような気持ちになる」「今でも一番好きなドラマ」「台詞の間や沈黙にまで意味がある」「是枝監督の真骨頂」といった絶賛の声が多数寄せられました。一方で、放送当時は視聴率的に苦戦したものの、時が経つにつれて再評価が進み、海外映画祭での高評価もあって「隠れた名作」として語り継がれています。家族の何気ない瞬間を愛おしく感じさせる珠玉の10話と評されています。