作品紹介
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年8月26日にフジテレビ系のドラマ枠『if もしも』で放送された岩井俊二監督の代表作。loca.ash.jpデータベース上は1995年区分(1995年映画版公開年)。原作は岩井俊二オリジナル、脚本も岩井俊二。主演は山崎裕太(嶋田典道役)、共演に反田孝幸(安曇祐介役)、奥菜恵(及川なずな役)、佐倉望(和弘役)、田中陽介(純一役)、平松大樹(稔役)など。岩井俊二が劇場映画デビュー前に手掛けた本作は、日本映画監督協会新人賞を受賞し、後に「岩井俊二の伝説的TVドラマ」として今も語り継がれる名作です。1995年8月12日には映画化されて劇場公開、2017年にはシャフト制作でアニメ映画版(米津玄師主題歌「打上花火」)として再映画化されました。
千葉県飯岡海岸の田舎町。小学6年生の嶋田典道(山崎裕太)と安曇祐介(反田孝幸)、そして仲間の和弘・純一・稔は、夏休みの花火大会に向けて「打ち上げ花火は下から見ると丸いのか、横から見ると平べったいのか」を確かめるために、灯台に登る計画を立てます。一方、クラスメイトの及川なずな(奥菜恵)は両親の離婚で町を離れることに。なずなは典道と祐介に「50メートル走で勝った方と一緒に花火大会に行く」と約束します。
本作の最大の特徴は「もしも」の二重構造。典道が祐介に負けた現実と、典道が祐介に勝ったもう一つの「もしも」――二つの並行する物語が、なずなの駆け落ち、母親に追われる別離、灯台から見上げた花火のクライマックスへと収束していきます。千葉県旭市飯岡を中心に、銚子市・旭市の小学校・神社・海岸・灯台・農道などでロケが行われ、瀬戸内海ならぬ太平洋沿岸の日本の夏休みを永遠の輝きとして刻みつけた、邦画青春映画の金字塔です。
話題になったポイント
岩井俊二の劇場デビュー前の伝説作
『Love Letter』(1995年)で劇場映画デビューを果たす前の岩井俊二監督が、フジテレビの単発ドラマ枠『if もしも』で手掛けた幻のTVドラマ。日本映画監督協会新人賞を受賞し、当時のドラマファンと映画ファンに衝撃を与えました。後年、岩井俊二映画の原点として再評価されています。
「もしも」の二重構造が画期的
典道が50メートル走で負けた現実と、勝った「もしも」の世界――二つの並行する物語を交錯させる構成は、後の岩井俊二映画(『スワロウテイル』『リップヴァンウィンクルの花嫁』)にも通じる「もしも」の世界観の原点。1993年のTVドラマとは思えない実験的構成が話題になりました。
奥菜恵・山崎裕太の伝説的子役演技
当時小学生だった奥菜恵の透明感ある演技と、山崎裕太の少年らしい必死さが、夏の郷愁と初恋の切なさを完璧に表現。後の俳優人生に繋がる二人の原点的演技が、現在も「岩井俊二と奥菜恵の出会いの作品」として記憶されています。
ロケ地ガイド
旭市飯岡海岸エリア
物語の中心地・飯岡。
- 嶋田釣具店:千葉県旭市飯岡、嶋田典道の家。
- 浜茶屋 海鮮前の道:千葉県旭市上永井、典道・祐介・稔の走る高台。
- 嶋田医院:千葉県旭市ハ、安曇祐介の実家「安曇医院」。
- 玉崎神社:千葉県旭市飯岡、花火大会の露店神社。
- 道路:千葉県旭市飯岡、なずなが母親に連行された場所。
- 千葉交通新畑バス停:千葉県旭市飯岡、典道となずなのバスシーン。
- JR総武本線飯岡駅:千葉県旭市後草、典道となずなの「飯岡駅」。
- 飯岡海水浴場:千葉県旭市横根、安さんの花火打ち上げの海岸。
- 飯岡灯台:千葉県旭市上永井、ラストの灯台シーン。
銚子・上永井エリア
小学校と海岸線。
- 銚子市立豊岡小学校:千葉県銚子市八木町、典道となずなの小学校。
- 旭市立三川小学校:千葉県旭市三川、50m競争のプール。
- 道路:千葉県銚子市八木町、祐介と典道の別れ道。
- 中池沿いの道:千葉県旭市上永井、「バナナいる人」の池。
- 農道:千葉県旭市イ、不平を言いながら歩いた農道。
- 犬吠埼:千葉県銚子市犬吠埼、茂下灯台。
聖地巡礼のおすすめルート
飯岡・灯台ルート
JR飯岡駅を起点に千葉交通新畑バス停、飯岡海水浴場を散策し、飯岡灯台でラストシーンの絶景を体感する、打ち上げ花火聖地巡礼の王道コース。
小学校・神社ルート
旭市立三川小学校で50m競争プール、銚子市立豊岡小学校、玉崎神社で花火大会の祭りを体感するコース。
犬吠埼・銚子ルート
犬吠埼の茂下灯台で太平洋を眺め、銚子の海岸線をドライブする、岩井俊二的「もしも」コース。
視聴者の声・評判
評価スコア
1993年のTVドラマとして放送され、日本映画監督協会新人賞を受賞。1995年の劇場版公開、2017年のアニメ映画版(米津玄師主題歌「打上花火」大ヒット)を経て、世代を超えた「夏の名作」として確立しました。
好評だったポイント
「奥菜恵の透明感が眩しい」「山崎裕太の少年らしい必死さが感動的」「岩井俊二の映像美が圧倒的」「『もしも』の二重構造が画期的」「飯岡海岸の夏が永遠に輝く」「灯台のラストシーンが切ない」「米津玄師アニメ版で再注目」――邦画青春映画の永遠の名作として、世代を超えて愛され続けています。