作品紹介
『花まんま』は2025年4月25日公開の日本映画。原作は朱川湊人の直木賞受賞短編集『花まんま』の表題作です。監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』の前田哲。主演は鈴木亮平と有村架純。上映時間118分。共演にファーストサマーウイカ、鈴鹿央士、酒向芳(第39回高崎映画祭 最優秀助演俳優賞受賞)ほか。
大阪の下町で暮らす兄妹・加藤俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)は、早くに両親と死別しています。俊樹は父の生前、「妹を守り抜く」と約束を交わしていました。歳月が流れ、フミ子の結婚が決まって俊樹は胸をなでおろしますが――フミ子は、兄妹のあいだで長く封印してきたある秘密を思い出してしまいます。幼い日、妹が突然「自分には別の家族がいる」と語り出したあの出来事。兄妹はふたたび、その記憶と向き合うことになります。
物語は大阪の下町から滋賀、神戸、京都へと広がっていきます。兄妹の生活圏は東大阪のブランドーリ布施商店街と恩智川沿い。フミ子の記憶を辿る旅では滋賀の彦根城や近江鉄道 日野駅が登場し、クライマックスの「ツツジの公園」は京都の蹴上浄水場で撮影されました。さらに、花の情景の撮影には中部屈指のツツジの名所である長野県岡谷市の鶴峯公園が使われています。
話題になったポイント
直木賞受賞作の映画化
原作は朱川湊人が2005年に直木賞を受賞した短編集の表題作。昭和の大阪下町を舞台に、不思議な出来事と家族の情を織り交ぜるノスタルジック・ファンタジーの名手による一編で、その空気をどう実写化するかが注目されました。
鈴木亮平と有村架純の兄妹
妹を守ることに人生を捧げてきた不器用な兄と、その優しさに縛られてもいる妹。鈴木亮平と有村架純が、血のつながりの重さと息苦しさを同時に抱えた兄妹を演じます。
東大阪から京都まで、花を辿るロケ
昭和レトロなブランドーリ布施商店街での撮影は大阪観光局も紹介するなど地元で話題に。一方でクライマックスは京都の蹴上浄水場、花の情景は長野の鶴峯公園と、「ツツジ」という作品のモチーフを追って複数県にまたがるロケが行われました。
ロケ地ガイド
東大阪エリア(兄妹の生活圏)
俊樹とフミ子が生きてきた、大阪の下町。
- ブランドーリ布施商店街:大阪府東大阪市長堂。フミ子が太郎と並んで歩くシーン、夜の帰り道のシーン。1番街から4番街まで続く長大なアーケード街で、近鉄・布施駅から徒歩3分です。
- 恩智川沿い:大阪府東大阪市。俊樹とフミ子が暮らす家、フミ子が自転車で出かけるシーン。
- 東大阪市役所:大阪府東大阪市荒本北。高速道路のジャンクションを疾走する俊樹と太郎のシーン。
- 東大阪スカイテラス:大阪府東大阪市上石切町。太郎が住むマンションから見える夜景のシーン。生駒山麓から大阪平野を一望します。
滋賀エリア(記憶を辿る旅)
- 彦根城:滋賀県彦根市金亀町。フミ子を探してドライブするシーン。国宝五城のひとつです。
- 彦根港:滋賀県彦根市松原町。俊樹と太郎が休憩するシーン。琵琶湖・竹生島への船が出る港です。
- 近江鉄道 日野駅:滋賀県蒲生郡日野町。劇中の「彦根花室駅」として登場。1900年開業のレトロな木造駅舎が残ります。
- 近江鉄道 高宮駅:滋賀県彦根市高宮町。幼少期の回想シーン。
京都・神戸エリア
- 蹴上浄水場:京都府京都市東山区粟田口華頂町。クライマックスの「ツツジの公園」のシーン。約4600本のツツジが咲き、例年ゴールデンウィーク前後に一般公開されます。
- 同志社女子大学 今出川キャンパス:京都府京都市上京区。フミ子と太郎の勤務先として撮影された大学。
- お好み焼き ひょうたん:京都府京都市伏見区深草西浦町。駒子が働くお好み焼き屋。
- 神戸ポートピアホテル:兵庫県神戸市中央区港島中町。フミ子の結婚式シーン。南館4階のセントチャペルが使われました。
長野エリア(花の情景)
- 鶴峯公園:長野県岡谷市川岸東。中部屈指のツツジの名所として、花の情景の撮影に使われた公園。約3万株のツツジが山肌を埋め尽くします。
聖地巡礼のおすすめルート
東大阪・下町ルート
近鉄・布施駅からブランドーリ布施商店街を歩き、恩智川沿いへ。生駒山麓の東大阪スカイテラスまで足を延ばせば、夜景まで含めて兄妹の生活圏を辿れます。半日のコース。
滋賀・近江鉄道レトロ駅ルート
近江鉄道 高宮駅から近江鉄道 日野駅へローカル線に揺られ、彦根城と彦根港を巡る一日コース。琵琶湖東岸の穏やかな時間が、作品の記憶を辿る旅と重なります。
ツツジの名所ルート
ゴールデンウィーク前後の一般公開に合わせて蹴上浄水場を訪ね、季節が合えば長野の鶴峯公園へ。作品のモチーフであるツツジを追いかける、時期限定のコースです。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksの平均スコアは★3.8。公開1か月を超えても感動の声が続き、酒向芳が第39回高崎映画祭で最優秀助演俳優賞を受賞するなど、演技面での評価も高い作品です。
好評だったポイント
「鈴木亮平の不器用な兄がたまらない」「有村架純の表情の芝居がいい」「布施商店街の昭和感が最高」「前田哲監督らしい優しい語り口」「ツツジのクライマックスが美しい」「原作の不思議な味わいがちゃんと残っている」――ファンタジックな設定を、あくまで兄妹の物語として着地させた点が評価されています。