作品紹介
『隠蔽捜査』は、今野敏による大ヒット警察小説シリーズを原作としたTBSドラマで、2014年1月から3月まで「月曜ミステリーシアター」枠にて全11話が放送されました。東大卒のエリート警察官僚・竜崎伸也(杉本哲太)と、私大卒ながらもキャリアとして活躍する幼なじみの伊丹俊太郎(古田新太)という対照的な二人の警察官を主人公に、警察組織の内部に潜む闇と正義の葛藤を描いた異色の警察ミステリーです。
物語は、暴力団員殺害事件の報告が上がってこないことに竜崎が疑問を抱くところから始まります。調査を進めるうちに、被害者3人が15年前の少女監禁・殺人事件の元加害者であることが判明。現職警察官が犯行を自供するものの、警察上層部は組織の体面を守るため事件の隠蔽を図ります。竜崎は「原理原則」を信条に、組織の圧力に屈することなく真実を追い求めていきます。
杉本哲太・古田新太のW主演に加え、安田顕、生瀬勝久、鈴木砂羽ら実力派俳優が脇を固め、重厚な人間ドラマとして仕上がっています。脚本は中澤圭規、嶋田うれ葉らが手掛け、音楽は窪田ミナが担当しました。
話題になったポイント
杉本哲太×古田新太の異色W主演
本作最大の見どころは、杉本哲太と古田新太という個性派俳優二人のW主演です。東大卒で原理原則を重んじる堅物の竜崎伸也と、柔軟な発想で現場を動かす伊丹俊太郎という対照的なキャラクターを、二人が見事に演じ分けました。特に古田新太が真面目な役柄を演じるのは珍しく、視聴者から「レアな古田新太が見られる」と話題になりました。杉本哲太の竜崎役は「当たり役」と評され、原作ファンからも高い支持を得ています。
リアルな警察組織の内幕描写
一般的な刑事ドラマとは異なり、本作は警察庁と警視庁の関係、キャリアとノンキャリアの軋轢、組織内の権力闘争といった警察組織の内部構造にフォーカスしています。「原理原則」を貫く竜崎の姿勢が、組織の論理と激しくぶつかる様子がリアルに描かれ、単なる事件解決ものとは一線を画す作品として注目されました。今野敏の原作が持つ組織論の深さが、ドラマでも見事に再現されています。
原作シリーズの高い評価と映像化
原作の『隠蔽捜査』シリーズは、吉川英治文学新人賞を受賞するなど文学的評価も高い作品です。シリーズ累計での人気も高く、ドラマ化にあたっては原作ファンの期待も大きいものでした。Filmarksでは3.5点(5点満点)の評価を獲得し、「ストーリー、配役、演出も抜群で引き込まれた」「渋い俳優ばかりで上手かった」といった好意的なレビューが多く寄せられています。
ロケ地ガイド
千代田区・霞が関エリア(警察庁・官庁街)
警察庁が舞台となる本作では、霞が関周辺の官庁街が多くのシーンで使用されています。リアルな官僚の世界を描くのにふさわしいロケーションが選ばれました。
- 警察庁:警察庁の外観シーンとして使用。竜崎が勤務する警察庁の象徴的な建物です。
- 霞が関1丁目交差点:霞ケ関駅周辺のシーンで登場。第1話で描かれた官僚街の日常風景です。
- 国会前庭洋式庭園:伊丹俊太郎と竜崎伸也が会話をしていた公園。二人の関係性を象徴する重要なシーンの舞台です。
- 外務省:第8話で登場した外務省の外観シーン。事件が省庁をまたぐスケールへ拡大していく展開を示しています。
- 国会議事堂前の道:第5話で事件解決後、竜崎と伊丹が話をしながら歩いていた通り。二人の絆を感じさせる印象的な場面です。
千葉・幕張エリア(警察庁内部)
警察庁の内部シーンは、千葉市美浜区にあるオフィスビルで撮影されました。近代的なビルの内装が警察庁のオフィスとして活用されています。
- エム・ベイポイント幕張:警察庁の内部シーンの撮影に使用。竜崎が日々勤務するオフィスの舞台として、作品を通じて登場する最重要ロケ地の一つです。
江東区・中央区エリア(警察署・事件現場)
警察署や事件現場のシーンは、東京都内の複数のビルや施設で撮影されました。
- 木材健保会館:警視庁麹町中央警察署として使用。第2話から登場する重要なロケ地です。
- 新日本ビル:警視庁大森北警察署の外観として使用されました。
- 千代田ビル:第3~5話で立て篭もり事案が発生したスナックが入っているビルとして登場。緊迫したシーンの舞台です。
- 銀座FOXビル:第3話で前線本部が設置されたビル。事件対応の指揮所として描かれました。
- 正和ビル:第3話に登場した城都ファイナンスのビル。
品川区・大田区エリア(竜崎の生活圏)
竜崎伸也の自宅や管轄エリアとなる品川・大田区周辺のロケ地が多数使用されています。
- マンション(竜崎家自宅):竜崎家の自宅マンション。家庭内の葛藤も描かれる重要な場所です。
- マンション(大森北第一公舎):大森北第一公舎として登場。警察官の住居施設です。
- 猿楽町町会詰所:大森中央交番として使用。第1話に登場する地域密着型の警察活動を象徴する場所です。
- JR東海道本線品川駅港南口:第10話で減刑運動が行われていた駅前のシーン。
- 京浜急行本線平和島駅:第7話で戸高善信がタクシー運転手に聞き込みをしていた平和島駅。地道な捜査シーンの舞台です。
空港・交通エリア
国際的な事件展開に伴い、空港や道路でのロケも多く行われました。
- 羽田空港:第6・7話で空から見た羽田空港の空撮映像として使用。
- 成田国際空港第2ターミナル:第6・7話で羽田空港の建物内として使用されました。
- 静岡空港:同じく第6・7話で羽田空港内部のシーンに使用。複数の空港を組み合わせてリアルな空港描写を実現しています。
- 大黒ふ頭T-8号上屋前の交差点:第3話で検問が行われている場所として登場。
その他の注目ロケ地
作品に彩りを添える個性的なロケ地も各話に散りばめられています。
- 赤坂サカス:お天気キャスター美馬怜子が中継していた場所。第1話に登場します。
- 独鈷の湯:伊豆・修善寺のシーンとして使用。第1話の重要なロケ地です。
- 東京警察病院:第4・5話に登場。事件に関連する病院シーンの舞台です。
- 東京大学:第10話で東大キャンパスとして登場。竜崎の出身校としての意味も持つ場所です。
- 國學院大學渋谷キャンパス:第10話で試験会場の教室として使用されました。
- ホテルイースト21東京:第7話で伊丹俊太郎が離婚届を破り捨てたラウンジ。印象深い名シーンの舞台です。
- CELLAR BAR:最終話で竜崎と伊丹が乾杯していたバー。物語の締めくくりにふさわしい場所です。
聖地巡礼のおすすめルート
霞が関・官庁街コース(所要時間:約2時間)
霞ケ関駅を起点に、霞が関1丁目交差点からスタート。警察庁の外観を眺めた後、国会前庭洋式庭園で竜崎と伊丹が語り合ったシーンに思いを馳せましょう。外務省を経由して国会議事堂前の道へ。官僚の世界を肌で感じられるコースです。周辺には飲食店も多く、散策の合間に休憩も取りやすいエリアです。
品川・大森エリアコース(所要時間:約3時間)
品川駅港南口からスタートし、京浜急行で平和島駅へ移動。戸高刑事の地道な捜査シーンを追体験できます。新日本ビル(大森北警察署)周辺を散策した後、猿楽町町会詰所(大森中央交番)を訪問。竜崎が署長として管轄する街の雰囲気を味わえるコースです。
銀座・中央区コース(所要時間:約2時間)
銀座FOXビルを起点に、木材健保会館(麹町中央警察署)方面へ。途中、くまざわ書店 品川店で竜崎が本を購入したシーンを再現するのもおすすめです。最後はCELLAR BARで、竜崎と伊丹のように一杯いかがでしょうか。ドラマの余韻に浸りながら巡礼を締めくくれます。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksでは5点満点中3.5点(228件のレビュー)を獲得しています。評価の分布は、4.1〜5.0点が11%、3.1〜4.0点が61%、2.1〜3.0点が21%、1.0〜2.0点が8%と、中〜高評価に票が集中しており、視聴者の過半数が好意的な評価を下しています。平均視聴率は7.5%で、初回8.2%、最終話7.0%という安定した数字を記録しました。
好評だったポイント
最も多かった声は主演二人の演技に対する賞賛です。「杉本哲太の当たり役」「古田新太の真面目な演技がレアで新鮮」「二人のコンビが最高」といった感想が多数寄せられました。脇を固める安田顕、生瀬勝久らの実力派俳優陣についても「渋い人ばかりで上手かった」「キャストが豪華」と高く評価されています。ストーリー面でも「引き込まれる展開」「原作の良さが活きている」と評価される一方、「全11話にエピソードを詰め込みすぎ」「もう少しじっくり描いてほしかった」という構成面での意見も見られました。総じて、演技力の高いキャスト陣と骨太な原作の魅力が評価された作品です。