作品紹介
『怪物』は2023年6月2日に公開された是枝裕和監督・坂元裕二脚本のヒューマンドラマ。是枝監督のオリジナル脚本ではなく、ドラマ『カルテット』『最高の離婚』の坂元裕二が初めて是枝作品の脚本を手がけた話題作です。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞。坂本龍一が映画用に提供した最後の劇伴音楽が話題となりました。安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子らが出演。
シングルマザーの早織(安藤サクラ)は、息子の湊(黒川想矢)の様子がおかしいことに気づきます。学校で何かが起きている――そう感じた早織が、担任の保利(永山瑛太)に問い詰めると、彼の答えは要領を得ない。しかし、視点が変わると同じ出来事の意味がまったく異なって見えてきます。「誰が怪物なのか」――三つの視点で同じ時間を描き直す『羅生門』スタイルの構成で、観客に答えを委ねる仕掛けが秀逸です。
撮影の9割以上が長野県諏訪地域で行われ、旧城北小学校、立石公園、釜口水門、旧立場川橋梁など諏訪・岡谷の風景が印象的に使われています。是枝監督が「ここだ」と直感した旧城北小学校が物語の中心舞台となり、諏訪湖を一望できる絶景スポット・立石公園での子どもたちの対話シーンは、本作の名場面として高く評価されています。
話題になったポイント
カンヌ脚本賞・クィア・パルム賞のW受賞
第76回カンヌ国際映画祭で坂元裕二が脚本賞、そしてLGBTQをテーマにした作品に贈られるクィア・パルム賞も受賞。日本映画として国際的に高く評価された一作となりました。
三視点構成の脚本術
同じ出来事を「母親」「教師」「子供」の三つの視点から描き直す構成。観客は何度も「自分が見ていたのは何だったのか」と問い直すことになります。坂元裕二脚本ならではの言葉の選び方も光ります。
坂本龍一の遺作劇伴
2023年3月に逝去した坂本龍一が、生前最後に手がけた映画劇伴。是枝監督との縁から実現した本作の音楽は、シンプルなピアノが物語の余韻を深めます。「Aqua」など本作のために選ばれた楽曲も含まれ、音楽ファンも必聴の一作。
ロケ地ガイド
諏訪市内エリア
映画のメイン舞台。徒歩・車で巡れる範囲に名シーンのロケ地が密集しています。
- 旧城北小学校:諏訪市大和、是枝監督が「ここだ」と直感した校舎。物語の中心。
- 立石公園:諏訪市上諏訪、諏訪湖を一望する高台。子どもたちの対話シーンの舞台。
- 手長神社:諏訪市上諏訪、放課後シーンに登場する石段と鳥居。
- 諏訪赤十字病院:諏訪市湖岸通、湊が検査を受ける病院シーン。
- JR上諏訪駅:諏訪市、火災を遠望する跨線橋階段のシーン。
岡谷市・周辺エリア
諏訪湖の対岸、岡谷市内の象徴的なロケ地。
- 釜口水門:岡谷市湊、諏訪湖からの天竜川流出口。湊と依里が渡る象徴的な橋。
- 横河川の鉄塔:岡谷市三沢、印象的な鉄塔のシーン。
- 岡谷市ふれあいホール:岡谷市本町、集会シーンの舞台。
- 旧立場川橋梁:諏訪郡富士見町、クライマックスの廃線橋梁シーン。
聖地巡礼のおすすめルート
諏訪市内徒歩半日コース
JR上諏訪駅を起点に、まずJR上諏訪駅跨線橋で映画の冒頭シーンを再現。徒歩で手長神社に参拝し、車で立石公園へ移動して諏訪湖を一望。旧城北小学校を外観見学する、諏訪の名シーンを集約したコース。
諏訪・岡谷 1日コース
諏訪市内コースに加えて、岡谷の釜口水門を訪れて湊と依里が渡るシーンを再現。さらに足を延ばして旧立場川橋梁でクライマックスシーンの空気を体感する、諏訪湖周辺の絶景巡りコース。諏訪温泉宿泊と組み合わせれば1泊2日の聖地巡礼旅が完成。
視聴者の声・評判
評価
カンヌ国際映画祭2部門受賞、第47回日本アカデミー賞最優秀脚本賞ほか各賞受賞。Filmarksでも高評価が集中し、是枝監督と坂元裕二脚本という最強タッグの結晶として絶賛されました。
好評だったポイント
「三視点構成の構造美」「子役(黒川想矢・柊木陽太)の演技が圧倒的」「安藤サクラの母親役の迫力」「坂本龍一の音楽が物語を引き立てる」「諏訪の風景が美しい」といった声が多数。「観終わった後、何度も考え直したくなる」「友人と語り合いたくなる」と、観客の心に問いを残す重厚な一作として記憶される作品です。