作品紹介
『キングダム』は2019年4月19日に公開された、原泰久の同名コミックを実写映画化した歴史アクション大作。監督は『アイアムアヒーロー』『GANTZ』の佐藤信介。累計発行部数が1億部を超える原作の第1巻から第5巻までにあたる「王宮奪還編」を、日本と中国をまたぐ大規模ロケで映像化した。
舞台は紀元前3世紀の中国・春秋戦国時代。戦争孤児として下僕の身分に落とされた信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、いつか天下の大将軍になるという夢を分かち合いながら、来る日も来る日も剣を振るっていた。ある日、大臣・昌文君に見込まれた漂が王宮へ召し上げられるが、数日後、瀕死の傷を負って信のもとへ戻り、一枚の地図を託して息絶える。地図が示す先で信が出会ったのは、漂と瓜二つの少年——王座を追われた秦国の若き王・嬴政だった。
山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、大沢たかお、本郷奏多ら豪華キャストが集結。特に大沢たかお演じる王騎将軍の圧倒的な存在感は公開当時から大きな話題を呼び、その後シリーズ全4作へと続く長大なサーガの幕開けとなった。興行収入57.3億円を記録し、2019年公開の実写邦画としてトップクラスのヒットを記録している。
話題になったポイント
大沢たかおの「王騎将軍」が生んだ社会現象
秦国六大将軍のひとり・王騎を演じた大沢たかおは、役作りのために肉体を徹底的に作り込み、原作の巨躯を実写で成立させた。独特の口調と余裕たっぷりの佇まいは「ンフフフ」という笑い方とともにミーム化し、シリーズの象徴的存在に。以降の続編でも王騎の登場シーンが最大の見せ場として扱われるようになった。
吉沢亮の一人二役
信の親友・漂と、秦王・嬴政という対照的な2役を吉沢亮が一人で演じ分けた。無邪気な少年と、冷徹な策略家としての王という振れ幅の大きい演技は高く評価され、実写化作品としての説得力を大きく押し上げた。
中国・象山影視城での大規模ロケ
秦の王都・咸陽宮の場面は、中国浙江省寧波市象山県にある巨大オープンセット「象山影視城」で撮影された。日本映画としては異例のスケールで海外ロケを敢行し、春秋戦国時代の世界観を破綻なく成立させたことが、実写化成功の大きな要因となっている。
ロケ地ガイド
栃木エリア
石と竹——本作のアクションを象徴するふたつの舞台が、いずれも栃木県宇都宮市に揃っている。どちらも一般公開されている観光施設で、聖地巡礼のハードルが低いのが嬉しい。
- 若竹の杜 若山農場:東京ドーム5個分の広さを誇る竹林で、信が山の民の戦士ムタと激突するシーンが撮影された。約24万平方メートルに広がる孟宗竹の林は日中でも薄暗く、剣戟の緊張感を際立たせている。
- 大谷資料館:巨漢の刺客ランカイとの決闘が繰り広げられた地下採掘場跡。深さ30m、広さ2万平方メートルの巨大な地下空間は、年間平均気温8℃という異世界感で、多くの映像作品に使われている定番ロケ地でもある。
静岡・千葉エリア
信と漂の原点となる村、そして最初の死闘の舞台。物語序盤の重要な場面が首都圏近郊で撮影されている。
- 十里木高原(裾野市須山):信と漂が奴隷として暮らした「里典の家」が建てられた場所。市民ボランティア200名以上が撮影に参加し、本作全体のクランクアップの地ともなった。富士山の裾野に広がる草原が、二人の少年の夢の大きさを象徴する。
- 鋸山:刺客・朱凶との決闘が撮影された岩場。石切り場跡の垂直に切り立った岩肌が、荒々しい戦闘シーンに独特の迫力を与えている。
- 富士宮市の溶岩洞窟:一行が洞窟を進む場面が撮影された。富士山麓の溶岩洞窟が使われたが、正確な撮影地点は公表されていない。
九州エリア
南九州の秘境が、王の別荘という贅沢な舞台に選ばれた。
- 雄川の滝:秦王・穆公の別荘地として登場。エメラルドグリーンに輝く滝壺と落差46mの直瀑が、この世のものとは思えない神秘的な画をつくり出している。展望所までは駐車場から徒歩約20分の遊歩道が整備されている。
聖地巡礼のおすすめルート
宇都宮1日「竹と石」ルート
JR宇都宮駅を起点に、午前は大谷資料館で地下神殿のような採石場跡を体感し、午後は車で20分ほどの若竹の杜 若山農場へ。どちらも撮影で使われた空間をそのまま歩けるため、映画の緊張感を追体験するには最適の組み合わせ。締めは宇都宮餃子でどうぞ。
富士山麓ドライブルート
裾野市の十里木高原から富士宮市方面へ抜けるコース。富士山の雄大な裾野を望みながら、信と漂が夢を語り合った風景をたどることができる。晴天日は正面に富士山が大きく見え、撮影スポットとしても人気が高い。
視聴者の声・評判
評価
Filmarks平均評価は3.9前後と、漫画実写化作品としては極めて高い水準。国内興行収入57.3億円を記録し、実写化への懐疑的な空気を覆した成功例として語られることが多い。
好評だったポイント
「実写化を諦めていたのに、想像を超えるスケールで驚いた」「大沢たかおの王騎が完璧すぎる」「アクションの重量感と殺陣のキレが本物」といった声が多数。特にキャスティングの再現度と、中国ロケによる世界観の説得力が高く評価されている。
賛否の分かれた点
一方で「原作の情報量を2時間に詰め込んだためテンポが速すぎる」「一部のCGが浮いて見える」といった指摘もある。ただしそれらを差し引いても続編を望む声が圧倒的で、実際にシリーズは全4作にわたって制作されることとなった。