作品紹介
『南極料理人』は2009年8月8日公開の日本映画。海上保安庁職員・西村淳のエッセイ『面白南極料理人』を原作に、沖田修一が監督・脚本を手がけた商業映画デビュー作です。上映時間125分。第50回日本映画監督協会新人賞の最終候補となり、2009年度新藤兼人賞金賞、第29回藤本賞新人賞を受賞しました。主題歌はユニコーンの『サラウンド』。
1997年、海上保安庁の主計士・西村淳(堺雅人)は南極地域観測隊の一員としてドームふじ基地に派遣されます。標高3800メートル、平均気温マイナス54度、ペンギンもアザラシもウイルスさえ存在しない「陸の孤島」。西村の任務は、そこで越冬する隊員8名の食事をつくることです。冷凍野菜と缶詰しかない極限環境で、ラーメン、伊勢エビのフライ、フランス料理まで工夫を凝らした食事が、閉じ込められた男たちの心をつなぎとめていきます。
南極の屋外シーンは、真冬の北海道網走市で撮影されました。オホーツク海に突き出した能取岬は気温こそマイナス10度前後ですが、風が強く体感的には過酷な現場だったといいます。基地内部は東宝スタジオに組まれたセットで撮影。そしてラストシーンは、埼玉県宮代町の東武動物公園で撮られました。共演は生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補、古舘寛治、小浜正寛、黒田大輔、西田尚美。
話題になったポイント
「飯テロ映画」の代表格
本作を語るうえで欠かせないのが料理の描写。豚汁とおにぎり、伊勢エビのフライ、ビーフステーキ、そして深夜のラーメン――極限環境だからこそ際立つ食事の美味しさが、日本の「飯テロ映画」の代表格という評価を確立させました。
沖田修一の商業デビュー作
のちに『横道世之介』『滝を見にいく』などを手がける沖田修一の商業映画デビュー作。派手な事件は何も起きないのに、男たちの間の抜けたやり取りだけで2時間見せ切る演出は、この時点ですでに完成されていました。
真冬の網走で撮られた「南極」
原作者の西村淳が北海道網走市の出身であることもあり、南極のシーンは能取岬を中心に真冬の網走で撮影されました。網走市と大空町が撮影に協力しています。
ロケ地ガイド
網走エリア(北海道)
「南極」を演じた、オホーツクの厳冬の風景。
- 能取岬:北海道網走市美岬。ドームふじ基地周辺の南極の屋外シーン。オホーツク海に突き出した断崖の岬で、冬は流氷が押し寄せる絶景ポイントです。
- 美岬牧場:北海道網走市美岬。一面の雪原を隊員たちが歩くシーン。能取岬に隣接する広大な牧草地です。
- 網走湖:北海道網走市呼人。凍結した湖面を使った屋外シーン。冬はワカサギ釣りで賑わう汽水湖です。
- 網走スポーツトレーニングフィールド:北海道網走市呼人。雪上の屋外シーンの撮影地。
スタジオ・ラストシーンエリア
- 東宝スタジオ:東京都世田谷区成城。ドームふじ基地内部を再現したセット撮影。日本映画の名作を数多く生んだ撮影所です。
- 東武動物公園:埼玉県南埼玉郡宮代町須賀。ラストシーン。帰国した西村が家族と過ごす動物園。遊園地と動物園が併設された、関東有数のレジャー施設です。
聖地巡礼のおすすめルート
網走・オホーツク厳冬ルート
網走バスターミナルから能取岬へ。隣接する美岬牧場の雪原を眺め、市街に戻って網走湖へ。1〜2月なら流氷観光砕氷船「おーろら」と組み合わせるのが定番。作品と同じ真冬に訪ねれば、隊員たちの寒さがそのまま体感できます。
宮代・ラストシーンルート
東武スカイツリーラインで東武動物公園へ。都心から1時間ほど、家族連れでも楽しめる、映画の締めくくりを訪ねる半日コースです。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksの平均スコアは★3.9。公開から15年以上を経ても「腹が減る映画」として繰り返し語られ、配信でも安定して視聴され続けているロングセラー作品です。
好評だったポイント
「とにかく飯が美味そう」「堺雅人の淡々とした演技がいい」「何も起きないのに面白い」「男たちのくだらないやり取りが最高」「ラーメンのシーンが忘れられない」「能取岬の雪景色が本当に南極に見える」――極限環境を舞台にしながら、笑いと食で人間の営みを描き切った稀有な作品として愛され続けています。