作品紹介
『桜坂近辺物語』は2016年3月7日から10日まで、フジテレビ系で4夜連続放送されたオムニバスドラマ。脚本を手がけたのは、シュールなあるあるネタと緻密な会話劇で知られるバカリズム。東京・桜坂近辺で発生した大渋滞――ただそれだけの状況を舞台に、たまたま隣り合わせた4台の車の中で繰り広げられる人間模様を、4夜かけてじっくり描き出した意欲作です。
タクシーに乗り込んだ雑誌モデルと二股中の俳優、社長を誘拐したはいいものの渋滞にはまってしまった素人犯コンビ、スキー帰りにぎゅうぎゅう詰めの男5人、ドライブデートの終わりに口げんかを始めてしまったカップル。それぞれの車内では、渋滞という「動けない時間」がじわじわと人間の本音をあぶり出していきます。カーチェイスも爆発もない、ただ止まっているだけの車の中で、これだけドラマが立ち上がるのかと唸らせる構成が本作の真骨頂です。
ロケ地は東京・お台場から町田、渋谷、八王子、さらに神奈川・小田原の海岸線、長野の富士見高原スキー場まで広範囲に及びます。渋滞そのものはフジテレビ湾岸スタジオ周辺で撮影され、第1夜の妄想シーンでは西湘バイパスや酒匂川海岸といった湘南・小田原の絶景が使われるなど、「動けない車内」と「開放的な妄想の風景」の対比が見どころになっています。
話題になったポイント
バカリズム脚本のオリジナル4夜連続ドラマ
芸人でありながら脚本家としても高い評価を受けるバカリズムが、完全オリジナルで書き下ろした4夜連続企画。「渋滞にはまった車の中」という究極に狭い設定だけで4夜を持たせる構成力が話題を呼び、以降のバカリズム脚本ドラマ躍進の足がかりとなりました。
福山雅治のサプライズゲスト出演
劇中で流れるカーラジオの番組に、福山雅治がゲスト出演。バカリズムとのラジオトークという形で登場し、放送前に公式発表されるとファンの間で大きな話題になりました。渋滞中の車内という設定だからこそ成立する、粋な参加の仕方でした。
豪華キャストが「車内の会話」だけで見せる演技合戦
原田泰造、柏木由紀、袴田吉彦、市原隼人、勝地涼、生瀬勝久、山本耕史、大倉孝二、なだぎ武、山崎樹範、野間口徹、川口春奈、中村蒼と実力派が集結。特に第3夜、狭い車内で「誰が降りるか」を争う男5人の押し問答は、会話劇の密度がすさまじいと評判になりました。
ロケ地ガイド
お台場・渋滞の舞台エリア
物語の起点となる「桜坂近辺の大渋滞」が撮影されたエリア。
- フジテレビ湾岸スタジオ:東京都江東区青海2丁目。4台が大渋滞にはまっていた桜坂近辺の道として撮影されました。
- ヴィーナスフォート:東京都江東区青海1丁目。第1夜で水野真一(原田泰造)が月沢真由(柏木由紀)のイベントに参加していた会場。2022年に閉館した、お台場のランドマーク的商業施設でした。
第1夜「妄想シーン」の絶景エリア
タクシー運転手・水野が思い描く、月沢真由とのドライブデート妄想の舞台。
- 西湘バイパス:神奈川県小田原市酒匂3丁目。妄想の中で水野が真由を乗せて走る海沿いの道。相模湾を一望する日本屈指のシーサイドロードです。
- 酒匂川海岸:神奈川県小田原市西酒匂1丁目。妄想の中で2人が手を繋いだ砂浜。
- 表参道:東京都渋谷区神宮前5丁目。妄想の中で2人が話しながら歩いていた場所。
第2夜・町田/横浜エリア
誘拐犯コンビ・塩沢剛(市原隼人)と白川辰巳(勝地涼)の日常が描かれるエリア。
- アパート:神奈川県横浜市青葉区千草台。運送屋の仕事で2人が引っ越しの手伝いをしていたアパート。
- セレブ:東京都町田市原町田6丁目。2人が出てきたクラブ「セレブ」。
- 道路:東京都町田市原町田6丁目。2人がチラシ配りをしていた場所。
- 道路:東京都町田市原町田6丁目。仕事を終えた2人が歩いていた場所。
第3夜・長野スキー旅行エリア
- 富士見高原スキー場:長野県諏訪郡富士見町境広原。紺野(山本耕史)、青山(大倉孝二)、赤木(なだぎ武)、黒田(山崎樹範)、緑川(野間口徹)の5人がスキーをしていたゲレンデ。八ヶ岳南麓の眺望が自慢のスキー場です。
第4夜・カップルの思い出エリア
交際7年目のカップル、長野美奈(川口春奈)と千葉明久(中村蒼)の過去が回想されるエリア。
- 渋谷氷川神社:東京都渋谷区東2丁目。高校時代の2人が大学の合格祈願をしていた神社。渋谷最古の神社といわれ、縁結びのご利益でも知られます。
- 東京工科大学、日本工学院八王子専門学校:東京都八王子市片倉町。2人が通っていた大学。
- 都市センターホテル:東京都千代田区平河町2丁目。千葉が美奈の社員採用試験を見送った「東郷ハウス建設」。
- 青山セントグレース大聖堂:東京都港区北青山3丁目。2人が友人の結婚式に参加していた結婚式場。
聖地巡礼のおすすめルート
お台場・渋滞の起点ルート
フジテレビ湾岸スタジオ周辺からヴィーナスフォート跡地へ。ゆりかもめ・青海駅を起点に歩ける、作品の「起点」を辿る半日コース。臨海副都心の風景が第1夜の空気そのものです。
小田原・妄想ドライブルート
西湘バイパスを実際に車で走り、酒匂川海岸で海を眺める、水野の妄想を追体験するドライブコース。小田原駅から車で15分ほど。渋滞の対極にある開放感を味わえます。
渋谷・青山カップルルート
渋谷氷川神社で縁結びを祈願し、表参道を歩いて青山セントグレース大聖堂へ。第4夜のカップルの軌跡をなぞる、徒歩中心の都心デートコース。
評価・反響
評価スコア
Filmarksをはじめとするレビューサイトでは、バカリズム脚本ドラマのファンから安定した高評価を得ています。深夜帯・4夜連続という変則編成ながら、配信で後追い視聴して評価を上げた層が多いのも本作の特徴です。
好評だったポイント
ワンシチュエーション会話劇の妙を堪能できる作品として、バカリズム脚本作品の中でも隠れた名作と評されています。