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映画

台風クラブ

放送局
ATG/ディレクターズ・カンパニー
放送期間
19858月

高校受験を控えた中学3年生たち。接近する台風によって学校に閉じ込められた彼らは、抑圧されていた感情を爆発させ、雨の中で狂騒的な一夜を過ごす。相米慎二監督の代表作にして、第1回東京国際映画祭ヤングシネマ部門大賞受賞作。工藤夕貴、大西結花、三浦友和ら出演。

作品紹介

『台風クラブ』は1985年8月31日に公開された相米慎二監督の長編第5作。脚本は加藤祐司、撮影は伊藤昭裕、音楽は三枝成彰が担当した。第1回東京国際映画祭ヤングシネマ部門で大賞(ヤングシネマ大賞)を受賞し、副賞として次回作制作資金75万ドルが贈られた。

物語の舞台は、地方都市のある中学校。高校受験を控えた3年生たちは、それぞれに鬱屈した思いを抱えて夏の終わりを過ごしている。そこへ台風が接近。校舎に閉じ込められた彼らは、雨に打たれながら制服を脱ぎ捨て、踊り、叫び、狂騒的な一夜を過ごす。翌朝、台風一過の青空の下で、少年少女たちは決定的に変質した自分たちと向き合うことになる。

三上祐一、紅林茂、松永敏行らの中学生キャストに加え、当時14歳の工藤夕貴、『スケバン刑事』で人気を博す直前の大西結花、そして担任教師役に三浦友和という布陣。相米慎二特有の長回しと、俳優を極限まで追い込む演出が生む生々しい身体性は、公開から40年を経てなお色褪せない。イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチが本作から創作意欲を刺激されたと語ったことでも知られる。

話題になったポイント

相米慎二の長回しが生む「本物の身体」

本作の代名詞ともいえるのが、雨の中で少年少女たちが踊り続ける長回しのシーン。カットを割らずに撮り続けることで、演技を超えた疲労と高揚が画面に定着している。俳優が「演じる」段階を抜け出したところで初めて撮れる何かを捉えようとする相米演出の到達点として、映画史的にも重要な場面とされる。

工藤夕貴・大西結花のブレイク前夜

高見理恵役の工藤夕貴、大町美智子役の大西結花はいずれも本作が初期の代表作。大西結花はヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した。二人が後にアイドル・女優として大きく飛躍する直前の、まだ何者でもない瞬間が焼き付けられている。

4Kリマスターによる再評価

近年の4Kリマスター上映により、相米作品はあらためて若い観客の目に触れる機会を得た。SNSでの再発見も相次ぎ、「40年前の映画とは思えない」という驚きの声が現在も広がり続けている。

ロケ地ガイド

長野県佐久市エリア

本作のロケは、そのほぼすべてが長野県佐久市で行われた。夏休み期間中に中学校の校舎を3週間借り切るという大がかりな撮影で、在校生もエキストラとして参加。全校生徒には「台風クラブ撮影記念」と刻まれた鉛筆が配られたという逸話が残っている。

  • 佐久市立中込中学校:物語の主舞台となる中学校。プール、体育館、廊下、屋上と、校舎のほぼ全域が撮影に使われた。台風の夜に生徒たちが閉じ込められ、乱痴気騒ぎを繰り広げるあの空間である。なお現在も現役の中学校であり、見学の際は生徒の生活を妨げないよう外観をそっと眺めるにとどめたい。
  • 中込駅(JR小海線):理恵が東京へ向かう駅のシーンが撮影された。小海線ののどかなホームは、少女が日常の外側へ踏み出そうとする瞬間を静かに受け止めている。
  • 岩村田商店街:野球のユニフォーム姿の男子生徒2人が、夜の商店街を駆け抜けていくシーンの舞台。昭和の地方都市の空気がそのまま焼き付けられた貴重な記録でもある。

聖地巡礼のおすすめルート

佐久 半日ぶらり巡礼ルート

北陸新幹線・佐久平駅からスタート。まず岩村田商店街を歩き、昭和の面影が残る通りを味わう。その後JR小海線に乗り換えて中込駅へ。駅周辺から中込中学校方面へ歩けば、劇中の少年少女たちが暮らした町の距離感が体でわかる。全行程3〜4時間ほど。

相米慎二をたどる信州ルート

佐久での巡礼とあわせ、小海線で八ヶ岳方面へ足を延ばすコース。高原の空気の中で本作を思い返すと、台風一過の朝の青空の意味があらためて胸に迫る。

視聴者の声・評判

評価

Filmarks平均評価は3.8〜3.9と、40年前の作品としては異例に高い水準を維持している。映画評論家の門間雄介は「相米作品の頂点をなす傑作」と評しており、日本映画史の重要作として位置づけられている。

好評だったポイント

「思春期の得体の知れなさをこれ以上正確に撮った映画はない」「雨のダンスシーンの異様な高揚感が忘れられない」「長回しの緊張が最後まで途切れない」といった声が多い。中学生特有の残酷さと純粋さを、美化も断罪もせずに撮り切った点への評価が突出している。

賛否の分かれた点

「物語の説明が極端に少なく、突き放されたように感じる」「登場人物の行動が理解を超える」といった戸惑いの声も根強い。ただしその不可解さこそが本作の核心であり、「わからないまま何度も観返してしまう」という感想がそれを裏づけている。

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