作品紹介
『天気の子』は2019年7月19日公開の日本のアニメーション映画。監督・原作・脚本は新海誠で、『君の名は。』に続く長編第7作にあたります。配給は東宝、興行収入141.9億円。第43回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、第92回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表にも選出されました。音楽はRADWIMPS。
離島から家出して東京にやってきた高校1年生の森嶋帆高(声・醍醐虎汰朗)は、行き場をなくしたすえ、オカルト雑誌のライター・須賀(小栗旬)のもとで働きはじめます。降り止まない雨が続く東京で、帆高は不思議な力を持つ少女・天野陽菜(森七菜)と出会います。彼女が祈ると、空が晴れる。二人は「晴れ女」の力を使った小さなビジネスを始めますが、その力には代償がありました——。
本作の舞台はほぼ全編が東京。新宿・池袋・田端・銀座・芝公園と、実在の場所が驚くほど精密に描き込まれています。中でも重要なのが、代々木駅そばに建っていた代々木会館。屋上に鳥居がある廃ビルとして描かれた建物のモデルで、公開後の2019年秋から解体が進み、現在はもう存在しません。屋上の鳥居そのものは朝日稲荷神社(銀座)がモデルとされています。物語の帰結点となる田端駅南口・不動坂は、本作最大の聖地です。
話題になったポイント
「世界より君を選ぶ」という結末
大勢の幸せと、たった一人の少女。帆高が下す選択は公開当時から大きな議論を呼びました。『君の名は。』が「世界を救う」物語だったのに対し、本作は明確にそれを裏返しています。この結末をどう受け取るかが、いまも語り継がれる論点です。
東京の徹底したリアリティ
新宿のネットカフェ、歌舞伎町のラーメン屋、池袋の冠水した地下道——観光名所ではない「生活としての東京」が細部まで描かれたことで、公開後は48か所以上の聖地がファンによって特定されました。実在の店舗が背景美術として登場したことも大きな話題となりました。
失われた聖地・代々木会館
物語のもっとも重要な舞台となった代々木会館は、公開直後から解体が始まり、現在は跡地に別の建物が建っています。「映画のなかにしか残っていない場所」となったことで、本作の聖地巡礼はどこか記録としての性格を帯びるようになりました。
ロケ地ガイド
新宿エリア(東京都)
帆高が東京で最初に迷い込む街。本作でもっとも密度の高いエリアです。
- マクドナルド西武新宿駅前店:東京都新宿区歌舞伎町1-24-1。帆高と陽菜が初めて出会う場所。ビッグマックを差し出すあの場面です。
- 天下一品 歌舞伎町店:東京都新宿区歌舞伎町。帆高が警察に職務質問される場所。
- マンボー新宿靖国通り店:東京都新宿区新宿3丁目。帆高が寝泊まりするネットカフェ。
- 東京都庁:東京都新宿区西新宿。晴れ女ビジネスで東京が晴れわたる象徴的なカット。
代々木・渋谷・銀座エリア
「天気の巫女」をめぐる、物語の核心。
- 代々木会館:東京都渋谷区代々木1-35-1。屋上に鳥居のある廃ビルのモデル(現在は解体済み)。本作最重要の舞台です。
- JR東京総合病院:東京都渋谷区代々木2-1-3。冒頭、陽菜が母を見舞う病院。
- 渋谷スクランブル交差点:東京都渋谷区道玄坂。陽菜が空に祈る場面。
- 朝日稲荷神社:東京都中央区銀座3-8-12。ビルの屋上に社殿がある珍しい神社で、屋上の鳥居のモデルとされます。
田端・池袋・高円寺エリア
陽菜と凪の生活圏、そして物語の帰着点。
- 田端駅南口・不動坂:東京都北区東田端。陽菜と凪が暮らす街であり、ラストの再会シーンの舞台。本作最大の聖地です。
- ウイロード(雑司が谷隧道):東京都豊島区南池袋。冠水した地下通路のモデル。
- のぞき坂:東京都豊島区高田。都内屈指の急勾配で知られる坂。
- 池袋警察署:東京都豊島区西池袋。帆高が連行される警察署。
- 気象神社(高円寺氷川神社):東京都杉並区高円寺南。日本で唯一の天気の神社。下駄の形の絵馬は劇中とまったく同じです。
- 高島平駅:東京都板橋区高島平。終盤の引っ越し先となる団地の最寄り駅。
港区・江東区エリア
晴れ女ビジネスの舞台と、東京への入口。
- 六本木ヒルズ スカイデッキ:東京都港区六本木。帆高と陽菜が花火を見上げる屋上展望台。
- 芝公園:東京都港区芝公園。晴れ女ビジネスの最終地点で、登場人物が勢揃いする場面。
- 竹芝客船ターミナル:東京都港区海岸。「さるびあ丸」の発着地。帆高が東京にやってくる玄関口です。
- 竪川河川敷公園フットサル場:東京都江東区亀戸。凪がフットサルをするシーン。
神津島エリア(東京都)
帆高が捨ててきた故郷。物語は最後にもう一度ここへ戻ります。
- 東京都立神津高等学校:東京都神津島村。帆高が通っていた高校。
- はるか展望台:東京都神津島村。島の日々を象徴する高台。
- 多幸湾 三浦漁港:東京都神津島村。帆高が再びフェリーで東京へ向かう港。
聖地巡礼のおすすめルート
新宿ナイトルート
西武新宿駅前のマクドナルド西武新宿駅前店から出発。二人が出会った席に座ってから、天下一品 歌舞伎町店、マンボー新宿靖国通り店と歌舞伎町を歩き、西新宿の東京都庁展望室(無料)で夜景を見て締める。すべて徒歩圏内、2〜3時間のコースです。
田端・池袋 物語の帰着点ルート
JR田端駅南口から田端駅南口・不動坂へ。ラストシーンの階段に立ってから、山手線で池袋へ移動し、ウイロード(雑司が谷隧道)とのぞき坂を巡ります。坂と階段の多い一日なので歩きやすい靴で。
天気の神様に会いにいくルート
JR高円寺駅から徒歩で気象神社(高円寺氷川神社)へ。下駄の絵馬を奉納したら、銀座へ移動して朝日稲荷神社の屋上社殿へ。「屋上の鳥居」というモチーフの源流を辿る、天気の子ならではのコースです。
神津島 帆高の故郷ルート
竹芝客船ターミナルから「さるびあ丸」で神津島へ。帆高とまったく同じ航路です。島では東京都立神津高等学校、はるか展望台、多幸湾 三浦漁港を巡ります。一泊二日の船旅コース。
視聴者の声・評判
評価スコア
Filmarksの平均スコアは★3.7。興行収入141.9億円は2019年の日本映画で第1位、歴代でも上位に入る記録です。第43回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、第92回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表にも選出されました。
好評だったポイント
「雨の描写が圧倒的に美しい」「RADWIMPSの音楽と映像の同期が気持ちいい」「東京の描き込みが尋常じゃない」「帆高の選択に泣いた」——映像と音楽への評価は圧倒的です。一方で「主人公の行動に共感できない」「『君の名は。』ほど物語が整理されていない」という批判も少なくありません。ただ、その賛否こそが本作の狙いでもあり、「世界と誰かを天秤にかける」という主題を正面から突きつけた点で、新海誠作品のなかでも特異な位置を占め続けています。