作品紹介
『松本清張・最終章 わるいやつら』は、2007年1月から3月までテレビ朝日系列で放送された連続ドラマ(全8話)です。松本清張の同名小説を原作とし、2004年の『黒革の手帖』、2006年の『けものみち』に続く「米倉涼子×松本清張」三部作の最終章として制作されました。
原作では医師・戸谷信一が主人公ですが、本作では看護師・寺島豊美(米倉涼子)を主役に据え、悪に染まっていく女性の心理を深く掘り下げる大胆な改変が施されています。打算的な結婚に興味を持たず淡々と仕事をこなしていた豊美が、危うい魅力を持つ院長・戸谷信一(上川隆也)と出会い、次第に欲望と策謀の渦に巻き込まれていく姿を描いたサスペンスドラマです。
話題になったポイント
米倉涼子×松本清張シリーズの集大成
『黒革の手帖』で銀座のママ、『けものみち』で野望に燃える女を演じた米倉涼子が、本作では看護師という一見地味な立場から悪に手を染めていく女性を熱演。三部作を通じて異なるタイプの「悪女」を演じ分け、シリーズの集大成にふさわしい存在感を見せました。
豪華キャスト陣の競演
戸谷信一役の上川隆也、弁護士・下見沢作雄役の北村一輝、槙村隆子役の笛木優子、藤島チセ役の小島聖、そして余貴美子、大杉漣、伊武雅刀といった実力派俳優が脇を固め、愛憎渦巻く人間模様を重厚に描き出しました。
原作からの大胆な翻案
脚本を手がけた神山由美子は、原作の男性視点を女性視点に置き換えることで、現代的な物語へと昇華。女性の自立や欲望というテーマが米倉涼子の個性と見事にマッチし、原作ファンからも新鮮な驚きをもって受け入れられました。
ロケ地ガイド
横浜エリア
物語の主要な舞台となった横浜。戸谷病院の周辺や法律事務所など、ドラマの重要シーンの多くが横浜市内で撮影されました。
- 海洋会館:下見沢法律事務所として登場。横浜の歴史的建造物が重厚な雰囲気を醸し出しています。
- 横浜開港資料館:第2話で寺島豊美が下見沢法律事務所に向かって歩いていた場所。横浜の歴史を感じる美しい建物です。
- 日本大通り:第3話で豊美が戸谷信一の車に乗り込んだ通り。横浜の代表的な美しい並木道です。
- 山下埠頭:第3話で豊美と戸谷が話をしていた港の埠頭。横浜港の風景が印象的なシーンです。
- 横浜桜木町ワシントンホテル:第1話で戸谷信一と横武龍子が密会していたホテル。みなとみらいの夜景が美しいロケーションです。
- 神奈川県民ホール:第1話で横武龍子が戸谷に何度も電話をかけていた公衆電話がある場所として登場しました。
- 中栄信用金庫本店:第7話で戸谷が預金の解約に訪れた「横浜中央銀行」として撮影されました。
- 西平沼橋交差点のなかよし歩道橋:第4話で下見沢が豊美を海に誘った歩道橋のシーンです。
東京エリア
華やかな東京の街並みも、登場人物たちの欲望と策謀を映し出す舞台として効果的に使われました。
- 旧岩崎邸:槙村隆子が住む豪邸として登場。明治時代の洋館建築が、上流階級の雰囲気を見事に表現しています。
- 東京港のレインボーブリッジ:第1話で戸谷信一が車を飛ばしていた高速道路のシーン。東京湾の夜景が印象的です。
- 神宮外苑のイチョウ並木:第5話でホテルを出た戸谷の車が走っていた並木道。都会の美しい景観が映えるシーンです。
- ホテル ルポール麹町:第5話でエメラルドホテルの外観・ロビーとして撮影されました。
- ADK松竹スクエア:第6話で戸谷が豊美らしき女性を見かけて振り返らせたビルとして登場しました。
- VIA BUS STOP MUSEUM:第3話で豊美が見つめていた槙村隆子の店として使われました。
- ホルモン焼 幸永 西武新宿店:第4話で戸谷と槙村が食事をしていた焼肉店のシーンです。
- セントラルガーデン:第7話で戸谷が槙村を問い詰めた公園として登場しました。
水上温泉・群馬エリア
物語後半で戸谷が藤島チセを探す旅の舞台として、群馬県の温泉地が登場します。
- JR水上駅:第6・7話で戸谷が藤島チセを探して訪れた水上の駅。地方の素朴な駅舎が印象的です。
- 旅館たにがわ:第6・7話で戸谷が訪れた「谷川旅館」。水上温泉を代表する名旅館です。
- 貝掛温泉館:第6話で戸谷が藤島チセを探して訪れた秘湯の宿。山間の静かな温泉宿の雰囲気が物語に深みを与えています。
その他のロケ地
- 梅原病院:ドラマの中心となる「戸谷病院」の外観として使用されました。
- 洋館:戸谷信一が住む屋敷として登場。重厚な洋館建築が医師としての地位を表現しています。
- 茶寮 一松:「料亭尾張」として登場した料亭。和の趣ある佇まいが物語の雰囲気を引き立てています。
- 多摩川の鳩ノ巣小橋:第1話で豊美と戸谷が訪れた吊り橋。奥多摩の自然が美しいデートスポットです。
- 三河屋旅館:第1話で豊美と戸谷が泊まった旅館。風情ある温泉宿の雰囲気が漂います。
- アシェンダ乗馬学校:第2話で戸谷と槙村が乗馬をしていたシーンの撮影地です。
- インターナショナルガーデンホテル成田:第7話と最終話で戸谷が任意同行を求められたホテルのロビーとして使われました。
- 高浜運河遊歩道:最終話で豊美と藤島チセが話をしていた遊歩道。物語の結末に向けた重要なシーンです。
- 大倉山記念館:最終話に登場した歴史的建造物です。
聖地巡礼のおすすめルート
横浜ロケ地巡りルート(半日コース)
JR桜木町駅からスタートし、まず横浜桜木町ワシントンホテル周辺を散策。その後、日本大通りを歩きながら横浜開港資料館へ。海洋会館(下見沢法律事務所)を経て、山下埠頭で横浜港の景色を楽しみましょう。歴史的な建造物が多く、ドラマの重厚な世界観を体感できるルートです。
水上温泉エリア(1泊2日コース)
JR水上駅を起点に、まずは旅館たにがわで水上温泉の名湯を堪能。翌日は少し足を延ばして貝掛温泉館を訪問。戸谷がチセを探し歩いた山間の温泉地の風情を味わいながら、のんびりとした温泉旅行が楽しめます。
視聴者の声・評判
評価スコア
ドラマレビューサイトFilmarksでは3.7点(5点満点)の評価を獲得しています。松本清張三部作の最終章にふさわしい完成度と評されています。
好評だったポイント
視聴者からは「米倉涼子の悪女演技がシリーズ集大成として圧巻」「上川隆也と北村一輝の二人の男に翻弄される展開が見応えがある」「横浜や東京のロケ地が物語の雰囲気に合っている」といった声が多く聞かれました。特に原作の男性主人公を女性に変更するという大胆な脚色が功を奏し、現代的な視点で松本清張の世界を楽しめる作品として評価されています。また、全56箇所にも及ぶロケ地の多さも特徴で、横浜・東京・群馬と幅広いエリアで撮影された映像美が作品の魅力を高めています。