作品紹介
『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』は、2018年7月9日から9月10日まで、フジテレビ「月9」枠で放送された全10話の刑事ドラマです。2010年・2011年に上戸彩主演で放送された『絶対零度〜特殊犯罪潜入捜査〜』シリーズの流れを汲む第3シリーズにあたり、主演は井沢範人役の沢村一樹。月9初主演となりました。共演は小田切唯役の本田翼、山内徹役の横山裕、東堂定春役の伊藤淳史、田村薫役の平田満、そして前シリーズの主人公・桜木泉役の上戸彩。
物語の核となるのは「未然犯罪捜査班(ミハン)」という架空の組織です。公安のエリート刑事だった井沢範人は、ある事件をきっかけに警視庁総務部・資料課の室長へ左遷されます。しかしその資料課こそ、全国のビッグデータをAIで解析し、「未来の犯罪者」を割り出して潜入・追跡捜査を行う極秘部隊の隠れ蓑でした。
まだ罪を犯していない人間を追い、犯罪を「未然に」防ぐ——その手法は成果を上げる一方で、人権や冤罪という重い問いを常にはらんでいます。潜入捜査のスリル、次々と裏切られる予断、そして前シリーズから続く桜木泉の消息。一話ごとに緊張感を積み上げる構成で、初回10.6%と月9としては4期ぶりの2桁発進を果たし、最終回も10.8%と最後まで数字を保ちました。
話題になったポイント
「まだ起きていない犯罪」を追うという設定
ビッグデータとAIによる犯罪予測は、放送当時すでに現実味を帯び始めていたテーマでした。予測された未来の加害者を、罪を犯す前に追い詰めていく——本作はこのSF的な設定を、あくまで生々しい潜入捜査劇として描きます。「本当にこれは正義なのか」という居心地の悪さを残す作りが、単なる刑事ドラマとの差を生みました。
沢村一樹の月9初主演と、上戸彩の帰還
シリーズ第1・2作の主人公だった桜木泉(上戸彩)の存在は、本作でも大きな影を落とし続けます。「死んだことになっている泉は生きているのか」という縦軸が最終回まで引っ張られ、終盤で井沢と対峙する場面はシリーズを追ってきた視聴者にとってのハイライトとなりました。沢村一樹にとっては月9初主演という節目の作品でもあります。
第1話に凝縮された「都市を走り回る」ロケ
本作のロケ地は第1話に集中しています。ホテルのロビー、湾岸の親水公園、麻布の事務所、成田空港、ビルの屋上——潜入・張り込み・追跡が息もつかせぬテンポで切り替わり、首都圏の多彩なロケーションがそのままドラマの疾走感になっています。
ロケ地ガイド
千代田区エリア(権力と組織の中枢)
警視庁と政治の中枢に近い千代田区は、本作の「組織の論理」を映すエリアです。
- 国会前庭洋式庭園:千代田区永田町1丁目。第1話で桜木泉が山内徹に、特殊班を離れることを告げる場所として登場します。日本水準原点標庫や時計塔がある、静かな庭園です。
- 昭栄第2錦町ビル:千代田区神田錦町3丁目。第1話で井沢範人たちが潜入する「麻布の事務所」として撮影されました。
- パレスサイドビル:千代田区一ツ橋1丁目。第1話で東堂定春が山内徹に、桜木泉がベトナムで見つかったことを告げるビルの屋上。円筒形のコアが特徴的な、日本近代建築の名作として知られる建物です。
江東区・湾岸エリア(張り込みの現場)
ミハンの捜査官たちが息を潜めて対象を追う、湾岸エリアのロケ地です。
- ホテルイースト21東京:江東区東陽6丁目。第1話で小田切唯が張り込んでいたホテルのロビーとして登場します。
- 古石場川親水公園の関口橋:江東区古石場2丁目。第1話で田村薫と小田切唯が車中から張り込みをしていた橋。水辺が整備された遊歩道沿いにあります。
神奈川エリア(潜入先と裏の世界)
横浜・川崎は、本作における「裏社会」の顔として使われました。
- Club 675:横浜市中区太田町6丁目。第1話に登場するクラブです。
- 川崎運送:川崎市川崎区元木1丁目。第1話に登場する運送会社として撮影されました。
- ベルフィオレ:横浜市都筑区中川中央1丁目。第1話に登場します。センター北・センター南のニュータウンエリアにある施設です。
広域エリア(追跡の足取り)
都内から千葉の空港まで、捜査の広がりを示すロケ地群です。
- 成田国際空港第2ターミナル:千葉県成田市古込。第1話で井沢範人と小田切唯が見張っていた空港。国際線ターミナルという舞台が、事件のスケールを印象づけます。
- 品川駅前港南ビル:港区港南2丁目。第1話で富樫伸生が亡くなったニュースが流れる街頭テレビがあるビルです。
- 道路:品川区上大崎2丁目。第1話で山内徹が井沢範人に、単独捜査が見つかったことを問い詰める路地として使われました。
- クロス・ウェーブ府中:東京都府中市日鋼町。第1話で西田の車が止まった場所です。
- 青海:新宿区西新宿7丁目。第1話で須藤が会食した寿司屋として登場します。
聖地巡礼のおすすめルート
千代田区「組織の中枢」ルート
地下鉄・国会議事堂前駅から国会前庭洋式庭園へ。日本水準原点や時計塔を眺めながら、桜木泉が去っていった場面を思い返せます。そこから神保町方面へ歩き、パレスサイドビルで毎日新聞社が入る名建築を見上げ、昭栄第2錦町ビルのある神田錦町へ。徒歩と地下鉄で1〜2時間の手軽なコースです。
江東区 湾岸「張り込み」ルート
東西線・東陽町駅からスタートし、ホテルイースト21東京のロビーへ。そこから南へ下って門前仲町方面へ抜け、古石場川親水公園の関口橋を歩きます。水辺の遊歩道が整備されており、散歩そのものが気持ちのいいエリアです。
横浜・川崎「潜入」ルート
関内・馬車道周辺のClub 675から始め、京急で川崎方面へ移動して川崎運送のある元木エリアへ。さらに市営地下鉄でセンター北・センター南方面へ向かい、ベルフィオレを訪ねれば、本作の神奈川ロケを一日で回れます。いずれも一般の事業所・商業施設のため、見学の際は周囲への配慮を忘れずに。
評価・反響
評価スコア
初回視聴率10.6%は、月9としては2017年7月期『コード・ブルー』以来4期ぶりとなる2桁発進でした。最終回も10.8%と数字を落とさず、シリーズとして安定した支持を得ています。Filmarksでのレビュー数は3,700件を超え、平均スコアは★3.7前後と好評です。